開発ウラ話

カバンの中身A4Ver.2.0&カバンの中身B4Ver.3.0編

カバンの中身シリーズが出来るまでのこだわり話とうんちく話。

バージョンアップに際しての課題

バージョンアップでは、大きな収納量の実現と品質のアップを狙いとしました。(特にボードの裏面の機能を重点的に強化いたしました)
2006年の春頃には、カバンの中身の基本商品(と呼んでもよろしいと思うのですが・・・)のA4とB4のバージョンアップの必要を感じ始めておりました。お客様のお声で、A4・B4の裏面にたっぷりした収納をお求めになるご意見が増えてきて・・いたのです。
本来の「毎年一回くらいの商品の見直しをやろう・・・」というタイミングからすれば、もっと早くバージョンアップすべきだったかも知れません。しかし、もう一つの課題・・・「品質の向上」は、どうしても同時に実現したい課題であり、これがなかなか実現が難しく、もがいておりました。
「カバンの中身」を取り巻く環境も変わってまいりました。競合品はお安いものが出てきております。私どもの商品がいかに先に考えた・・とか、先に販売している・・とか、オリジナル性があるとか、声高に主張しても、お値段の原理には勝てないものだと分かっております。しかし、心中は穏やかではいられませんでした。最近では、私どもの商品をお取り扱いいただいている店頭でさえも競合品の品揃えの方が多いくらいですから・・・。
また、競合品をお作りの会社さんは大きな企業さんばかりです。

バージョンアップに際して課題は 3点に収斂してきました。
1、収納力のアップ(裏面の充実)
2、品質のさらなる向上
3、競合対策・・安価なものをどうするか?
となってきました。

競合品対策では、相当悔しい思いもありますし、悩みました。・・・競合品と同じ様な設計の物を、同じ様な値段で作るべきか?と・・・。

原点に戻ること

しかし、かなり悩んだ結果として、やはり私共は、私共らしく、私共のやるべき事をやろうと思い直しました。
この、今考えれば「あたり前のような答え」にたどり着くまで、実は結構長い時間、「ああ」でもない、「こう」でもない・・と悩んでおりました。
私共らしく・・とは、今後も協力メーカー様が作るのを嫌がるほど、きめ細かく、使う立場を想定した(ある種の自己満足か?と言われるような)設計や、まだまだ問題をすべては解決しきれず、高い理想には届いていませんので、お恥ずかしい限りですが・・・品質面のさらなる追及をすすめよう・・・と考えていたのです。

メーカー様からは、「左右に並んだポケットの奥行(出幅)がどうして3mm違うのか?面倒だから一緒にしたい」・・と言われても、入れる物の想定が異なるし、せっかく左右に並んでいるのだから出幅を変えた方がそれぞれに使いこなしの幅が出来て便利なポケットになる・・・と主張し、譲らずに「そう作って」来たのが弊社です・・・。
これは、本来の私共の「自然体」と言いますか、「原点」・・に戻ることなのだろうなぁ・・とも思いました。

私共は「お客さまのご不便の解消」「お客様の使いやすさの実現」から発想し、良い物、使いやすい物になるよう、私共なりのアイデアを少々加えつつ商品を考え、それを単純かもしれませんが一生懸命設計して作る・・という商品作りをしてまいりましたので、そういうやり方がやはり自然だ!と思いました。
もっと正直に言いますと、器用に「競合品対策としての商品」を企画するなんて・・・、我々には難しいし、できないなあ!とも思いました。
もちろん、開発に際しましては当然でございますが、性能と価格のバランスを重要視いたしております。お値段も少しでもお安くなるように、今後とも頑張って参ります。しかし、「この使い方ができる物、こう言うつくりの物は、これくらいのお値段に・・・」という避けられないコストの部分はございます。
使い方・使いこなしを大切にした商品性・仕様と、それを妥当なお値段で!!・・・と考えて行くこと・・・そう言う基本的な考え方に立ち返り、今後とも懸命に努力いたしてまいりたいと思います。

新バージョンの仕様・その1

バージョンアップの仕様に関しましては、前述の通り、お客様からのご意見の蓄積がありました。
A4やB4は裏面を作り込んで収納力を上げて!!とのご意見を多数頂いてきておりました・・・。
ですので、収納力の面ではあまり仕様に関する迷いはございませんでした。裏面は大きめのポケットを中心に、雑誌の収納などを考えて設計いたしました。

しかしながら、「重量」の増加をいかにするか?ではかなり苦しんでおります。 品質感のアップのためには、単純に言いますと『生地の厚みを倍』にしています。
ボードもしっかりと 2mm厚のものを選択しています。
結果として、商品はドンドン重くなりました。A4で従来202gが483gになり、倍以上です。
使い勝手と品質感の両立にはアイデアが必要になってまいりました。

そこで、裏面は全面がテープファスナーではがせるようにしました。
表面だけを使う方は、裏側をはがして「軽い状態」で使うことも可能なのです。これは先々、裏面に向けた小さなポケットを色々と別売することをも可能としてくれる仕様でもあります・・・??

新バージョンの仕様・その2

また、その他の細かな仕様では、やはりかなり検討をしております。
裏面の大型の新聞の入るサイズのポケットの部分では、中央の止め部分をマグネットにするか否か?などで議論と試作を繰り返しております。
マグネットのキャッチはカチッカチッと開閉が簡単で、使用感は良いのですが、磁石が電子機器や磁気記録カードへの悪影響を与えかねないと言う事で、試作品の作成後、結局取りやめておりますのです。
弊社の商品はこう言う「止める」部分でテープファスナーを使用しているのが目立ちますが、やはり磁気や電気的接触などでテープファスナーは安心なのです。

表面にも当然、少々工夫を加えています。
従来から得意の多重実装構造に磨きを掛けて?おります。ペンホルダー部の実装をさらに高め、とうとう「ペンホルダー」と「オープンポケット」と「カードホルダー」の『三重実装』になりました。何度も設計を繰り返していく事で、なかなか凄い造りになってきたなぁ(笑)・・・と思っております。

しかもさらにポケットの微妙な寸法の見直し、そして裏面を作りこむことによって、収納部がほぼ倍のスペースと豊富になる事で、使用時のボードの重量が「とても重くなってくる」ことも想定しました。
重くなったボードを受け止め、カバンの底が尖ってしまうことを防ぐ「トートの中身」で採用した仕様、『底面ボード』を用意することに致しました。

大問題勃発!?そして新しい工場との出会い

このように製品の仕様は次第に煮詰まって参ったのですが、この頃同時に、「大問題」が起きておりました・・・。

工場に『試作は出来るのだが、量産には自信が持てないので生産からは降ります・・』と宣言されてしまったのです。
弊社の商品は本当に作りにくい・・と言う事で複数の工場に断られています。
工程や手間では、大きなダレスバッグを作るのと同等か、それ以上で、素材の扱いなどの面でさらに難しいことが多い・・・のです。品質にコダワリ、しっかりした造りを追求すると量産の効果が出ない・・・つまり早く作れない・・・効率が上がらない・・・旨い技術者がこの商品ばかりに張り付いてしまう・・・ので、工場としてトータル的に問題を孕むので、やりたくない商品だとして、注文を受けたくないのだそうです。

やってくれる工場を探し、試作・見積もり・訪問・お願い・をしっかりやらないとなりません・・・。
時間が掛かりましたが、やってくれる良い工場は見つかりました!
しかも品質は大変!良好です。大変嬉しいことでしたが、コストはかなりのアップとなっておりました。
要求仕様を実現すると、お高くなります・・・。今後の課題です・・・。

これから、設計をさらに最適化し・良い意味の合理化を進め、コストにもチャレンジしていく必要を大きく残しました。(これは真剣に今後の取り組み課題と捉えてまいります。)

かくして完成いたしました今回の新しいカバンの中身。
お値段が高くなりました。この、品質から考えますと「ならざるを得ない価格アップ」でもありますが・・・実際には、かなり心配でドキドキしております。結果としてお値段が倍近くとなってしまったからです。

「カバンの中身」は今後とも、皆様のご期待にお答えし、カバンの中の黒子として愛され、お役に立つ事が出来るでしょうか?

スタッフ談

このコーナーも一年ぶりとなってしまいました。新商品も大変お待たせしてしまいました。
取り扱い店舗も増えているので、店頭で見かけた方もいらっしゃると思います。
品質のアップに、良さを実感して頂けているでしょうか?
前商品をお持ちでない方にはわからないかもしれませんが、素材等を比較しますと、かなりしっかりしたものに変わっています。
(生地素材、ボード素材)

また、裏面が取り外し可能商品となって、更に自由度が高まりました。 「今までのような軽いタイプが良かった」とおっしゃる方にもピッタリです。裏面を取り外して使ってみて下さい。

今回から横型のこの2タイプにも取り入れた底面ボードについて、早速お客様からもお声を頂きました。
『底面ボードにうまく固定ができずに、テープがはずれてしまう。』というお声でした。
カバンの大きさが多少大きかったようでしたので、動きやすくなり、滑ってしまったのかもしれません。また、ボード素材がしっかりしてきているので、はがれやすく感じてしまうかもしれません。(素材自体は以前と変わりませんので。)
今回のお客様は、更に接着できる固定テープを増強して解消して頂いたようで、これも一つのアイデア!と感心いたしました。

このように、お客様ならでは、職業柄ならでは、独特なアイデアなどは、お客様の声にて是非お寄せ下さい。
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