開発ウラ話

中国の工場編

カバンの中身シリーズが出来るまでのこだわり話とうんちく話。

初期の商品が生まれるまで

カバンの中身(R)は、中国製です。企画開発はビー・ナチュラル。
縫製関係の仕様等は香港のプロフェッショナルが・・・。生産は中国の工場が・・・という組み合わせでした。

しかし、それでも始めは「物作り」で大変苦労しました。約6ヶ月の間、中国から香港、日本の間を試作品が行き交い、試行錯誤を繰り返したのです。 カバンの中身は工場側にとっても経験の無い新しい物?ですから、どういうものを作るのか?なかなかイメージしてもらえませんでした。

工場側は、写真ではわからないので初期の試作をまず送れ・・・と言ってきました。設計は当初から図面で考えていたのですが、工場側は「始めに試作どおりのコピーをやってみる」と言うわけです。
これはこれで「なるほど」まず作ってみるのだな・・・と感心したりしましたが、固定テープの品質や縫製・付け方、また5段あるカードホルダーの中(底)の縫い忘れ・・・・カードが下まで落ちる・・・やペンホルダーの寸法が図面通りにならない等、問題は山積でした。もともと細かな縫製仕様を示さず企画としての出来上がりを図面にしていますから、作り方(縫製の順番など)は双方で考え、やり取りしながら決めていく方式になります。

つまり完成状態の図面を実現するために、裁断や縫い方などは香港や工場側のアイデアやノウハウ、作り易さも加味する方法ともいえます。この協力方式で作って行っても問題の解決ができない時は、再度、企画側からも縫製の詳細を説明する図画や生地の寸法図などを提示します。 スピードを求めたらこういうやり方ではいけないのかもしれませんが、試行錯誤の結果、こういうやり方にし、段階的に進めました。
また、ボードの素材をどうするか等、素材の検討も重要で、これも香港を経由しながらサンプルが行き交いました。
ボードは鋏で切れるか?
本体の生地の選定をどうするか?
縫製は?
何から何まで考えて決定しなければなりません。初期のB4の商品はこのような現実の中で生まれた物でした。

工場からの提案

香港・工場側もファーストバージョンの追加生産などでノウハウがたまり、B4ver2.0の設計の頃には色々な提案もしてくれました。

もともと本体の電池用のメッシュポケットは彼らの素材を含めた提案でありましたが、新製品でもポケット蓋部に芯材を使用する事で「ハリ」を出すことや、ポケットふち部へのステッチで「カッチリした感じ」を出す事など・・・主に品質面では先行して検討を進めていてくれ、提案を出してくれました。
開発もこの辺になると国や文化が違うなどと言うより、「一緒に良いものを作りましょう」と言うシナジーが感じられ、初期の試作で苦労していた頃が嘘のようでした。
もっとも初期商品の発注者であるアーバンプランニング社にしても、ビー・ナチュラルにしても、中国の工場の担当から見たら信用して良いか?どうか?さえ迷う、ただの開発話の来た弱小な相手・・・程度だったかも知れません。
考えてみれば本来、「信用してくれ」と言うほうが難しいとも思います。やはり海外の方との仕事は、取引の実績(互いに約束を守ること)が信用を醸成するのだなあ・・・とあらためて、しみじみ感じます。冷静に考えたらわかるのですが、彼ら工場の方がはるかに大規模な実績のある企業です・・・・。
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